イタリアに住んでいてイタリア人からのコンサートのオファーもあるのですが、イタリアにいる特に日本人(イタリア生活が短い)音楽家にとっては毎日がヒヤヒヤ(トラブル)一杯なんです。
どんなことがあるのかお話しいたしますね。
もし、イタリアに来てコンサートをしたいと考えている音楽家にとって少し覚えておくと動揺しなくなる記事です。
今回も、イタリア音楽院首席卒業で、現在はイタリア音楽学校の先生をやっている先生に記事を書いていきました。
記事の内容は、僕は嬉しくなるような楽しい興味深いお話もあります。
是非、お楽しみください。
スポンサーリンク
イタリア人とコンサートをする時はトラブルいっぱい!?
イタリア人音楽家から急な電話「きっと何かコンサートの誘いだろう。」と応答すると案の定。
イタリア人音楽家「コンサートするんだけど、何かアイデアとか曲用意できる?」
私「いいけど、コンサートはいつ・どこなの?」
イタリア人音楽家「今週の土曜日にミラノで!急ぎなんだ!」
私「えっっ!?」と言葉も出ないほどの驚き!
電話は月曜日の午後にかかって来たもので残り時間が1週間もない!こんなことは日常茶飯事です。
音楽のコンサートをする時ピアノなら1年以上かけて曲を仕上げますし、声楽でもやっぱり本気で仕上げるとなると3ヶ月くらいは最低限欲しいですよね。
結構こういう急なお誘い多いんです。
答えれるもには答えるけれど、無理なものはきちんとお断りをしないと、名前を書かれる以上はコンサートの質を落としたくないんですよね。
以前も、数名の声楽家の共演コンサート出演で私は、モーツァルトソナタをピアノ演奏と1曲イタリア歌曲を演奏予定でした。
ピアノ演奏のリハーサルをしながら伴奏者を待っていたところ、コンサートリハーサル中に「ピアニストが下痢で来れなくなった!だから伴奏を全部弾いて!」と渡された曲が15曲。
いくつかは以前に弾いたことがあるからメロディーは知っているけど10曲程は全く知らない曲。
本番までの残された時間は残り1時間でその間に10曲を譜読みして、声楽の伴奏をしたこともあります。
ピアノ弾ける人が私しかいなかったのです。
イタリアの声楽家たちはピアノが全く弾けません。コンサート中は変な冷や汗を書きながら必死に楽譜を目で追ってどうにかコンサートが成立するのを神様に祈りながら進めました。
イタリアに住んでいると少しずつ日本人もイタリアのコンサートのドタキャンなどに慣れて来て日本人同士の依頼も「1ヶ月後にコンサートで〇〇を演奏してね。
場所は多分ミラノだけど時間と詳しい会場はまだ決まっていないからね。」
なんて普通でまだ真面目な方かもしれません。
イタリアでのコンサートでは、その日の気分で曲が変わる事も
イタリアにいる声楽家の日本人も「オペラの出演依頼があったから今まで練習重ねてるんだけど本番が1週間後なのにまだオケ(オーケストラ)が決まってないからなくなるかも。」なんて不安を抱えていました。
イタリア人とコンサートをする時は最後の最後までどの曲を歌うか決めていなくて、その日の気分で曲を差し替えたり、何てことは日常茶飯事です。
頭を柔らかくしておいてどんな変化球が来ても対応できるように準備をしておかないとコンサートなんてできません。
コンサートの内容もあまり分からないまま本番を迎えることだってあります。
でもその時の雰囲気を読み取って曲を選んだりキャストを変えたりするのはもしかすると聴衆の需要を柔軟に感じ取ることができて、満足度が高くて即興性があるから何が起こるか分からないという生コンサートの楽しさやドキドキ感が聴衆までも巻き込むのかもしれませんね。
とにかくコンサートは目の前で起こること全てに即興性があり聞きに行って何かを肌で感じることができるのが魅力の一つだと思います。
演奏者と観客の間に人間関係ができて空間をみんなで楽しみ共有することが、コンサートの楽しみであり、音響が進んだ今でもコンサートとというアナログが重宝される唯一の魅力だと思います。